真実に向かってひた走る日記

映画が大好き。考察するのも大好き。いろんな映画の真相、裏を探ったり、意見を述べたりしていきます。

ここさけ感想・評価-ダイジェストで振り返り〜筆者心の声と考察を添えて〜(ネタバレあり)

 

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見てきました、ここさけ。

心が叫びたがってるんだー!

 

 

 

 

全体を通しての感想としては、中盤までは素晴らしかったです。あの花っぽい魅せ方や引き込まれるかんじは心地よいものでした。

 

ただ、ラスト40分は物足りなかったですね。やはり、終盤に向けて、まさに「心が叫ぶ」ような尻上がりの展開やスピード感を求めていたのですが、そのような感じはなかったです。心が叫んだというよりは、心が呟いたってかんじでしょうか?

 

とにかく、ラスト40分を残して収束してしまい、残りの40分はありふれたドラマのステレオタイプに則った退屈なものでした。それでも、ラストのミュージカルシーンは良かったですし、中盤までの出来だけでも高評価、それに曲と映像美を合わせても絶対に見るべきです。

 

点数をつけるならば70/100点といったところですが、じわじわと余韻を感じ、曲も頭を離れず、迷ってる方には必ず見ろと尻を引っ叩きたい作品です。

 

 

 

 

 

それでは、各ターニングポイントをダイジェストで振り返りながら、

個人的見解を述べたいと思います。

 

 

 

 

 

※以下ネタバレとなりますので、まだ見てない方はご注意を!

 

 

 

   

 

 

 

〜心が叫びたがってるんだ-感想・振り返り-〜

 

 

 

①言葉を失くした理由

 

 順は、明るくお喋りな女の子。山の上にあるお城に憧れ、いつか素敵な王子様と共に行ってみたいと思っていた。しかし、そのお城がラブホテルであることは知るはずもない。ある日、お城から出てくる父を見かけ、何も知らない順は、そのことを母へと饒舌に語る。母は言うのであった。「お願いだからそれ以上何も喋らないで。もう二度と、喋っちゃダメ。」

 このことをきっかけに、両親は離婚。去り際の父へ、何もわからず話しかける順に、父は言う。「お前は本当にお喋りだな。全部お前のせいじゃないか。

 自分を責める順の前に、卵が現れ諭す。言葉は人を傷つける。お喋りなお前は、言葉を封印しなければ幸せにはなれない、王子様も迎えに来ない、と。以後順は、言葉を発すると腹痛に見舞われるたまごの呪いにかかり、喋れなくなるのだった。

 

 

 

 

 

冒頭のテンポの良さは良かったです。

ただ、それ故に両親の責め方に、少しやり過ぎ感はありました。 

お父さんが、自分の浮気を棚に上げて、あまりにダイレクトに娘を責めるもんだから、ちょっと引きました。笑

かわいそうな順ちゃんT_T

 

あ、あと、順の「おじゃん!?」が可愛かったです。笑

 

 

 

 

 

 

 

②高校生になった順

 高校2年に成長した順は、地域ふれあい同好会の実行委員に選抜される。これをきっかけに、実行委員4人の物語が始まる。4人は、それぞれの問題に対し胸に抱えた思いを言葉に出せない点では、順と一緒なのであった。

 順は、坂上に言われたことをきっかけに、歌なら呪いが発動しないことに気づく。同好会でのミュージカルが現実味を帯び、乗り気で無かった周囲も次第に賛同、クラス一丸となって同好会成功に邁進する。そして、順は、坂上への思いを募らせていく。

 

 

 

 

 

中盤の、青春に乗ってサクサクと物事が良い方へ進んで行くのは心地よかったです。

 

この時の私の危惧はひとつ。

 

そろそろ起承転結でいう転が来る頃か?そうなのか?

 

ケンカか?トラブル発生で上演が危ぶまれるか?とにかく、頼むからありふれたドラマのような安い転を付け加えて無難な典型パターンに落とし込むのはやめてくれー!ということ。

 

すみません、ひねくれてます(笑) そしてこの願いは後ほど打ち砕かれるのであった。

 

 

 

また、二つの名曲、「悲愴」と「Over the Rainbow」を忍(坂上)が重ねたシーンは、トリハダたちました。そこに至るまでの感じも非常によく、今作最大の名シーンのひとつでしょう。

 

 

 

P.S. 配役図を見た時、田崎の役名が「玉子」であることに違和感を感じます。本来玉子とは調理済みの玉子を指すはず。そして王子の下に書かれた玉子。王子と玉子を掛けてる。これはまさか・・・。筆者の悪い予感は後ほど当たるのであった。

 

 

 

 

 

 

③来ました、転

 リハーサル後、二人になった坂上と二藤。順のことが好きなんでしょ?と問いただす二藤に対し坂上は、キッパリ否定。頑張ってる順を見て、応援したくなるだけ、好きだからではないと主張。そしてその会話を聞いてしまう順。

 傷ついた順の前に再び現れる卵。卵は順を責める。君は心がお喋りすぎる。もう呪いはおしまいだ。スクランブルエッグだ、と。そう、オジャンである。

 同好会当日、順は姿をくらませてしまう。原因が自分たちにあることを知った坂上は順を捜索しに行き、急遽主役と王子が代役に。呆れる順の母、信じて待つクラスメイト。坂上は、順が罪人の処刑場、つまり城に居るのではないかと気づく。

 

 

 

 

 

長い転でした。そしてありふれている。

 

この典型こそが青春なのでありリアルであるのと言うのなら、文句は言うまい。

それでも、少しはオリジナリティのある展開にして欲しかった。そして長い。

 

絶好調にまで高揚した気分は、数十分かけて地に堕とされた。この先の僅かな上映時間で、どんな叫びを魅せてくれるのかに期待しつつ、転の時間をやり過ごす。

 

 

 

 

 

 

 

④フィナーレ

 坂上は順を見つけ、学校に戻るよう促す。呪いの解けた順は、自分の言葉は人を傷つけるのだと自分を責める。傷ついてもいいから言葉をもっとくれ。そう言われた順はここぞとばかりに、心に閉じ込めた思いを、言葉を、吐き出す。それを受け止めた坂上に、自分の言葉が人を喜ばせていたことを教えられ、舞台に戻る決心をするのだった。

 順は、舞台に、少女の心の声として登場。丁度母の横を通り過ぎる時の歌詞。「私の言葉は人を傷つける。皆は私の声が出なくなることを望んだのだ。」母は涙を堪えきれない。

 舞台のフィナーレ。悲愴とOver the Rainbowの二重合唱が織りなす独特の雰囲気で幕を閉じる。

 坂上は二藤に思いを告げる決心をする。そして、順の元に愛を告白しにきたのは、田崎だった。そう、順を迎えに来たのは、王子ではなく、玉子なのであった。

 

 

 

 

 

順の、心の声の歌唱シーンは、泣けました。順が声を閉ざした本音。それは、まさしく卵など最初から居らず、自ら声を閉ざした経緯と由来を語るものでした。

 

 

ひとつ思ったんですが、忍が聞いた、卵に言葉を込めて捧げる話。きっと順もその話を、幼いながらに知っていたんでしょうね。そして、お喋りな自分への戒めとして、潜在意識にあった卵の話に則った自己暗示が生まれたのでしょう。

 

 

 

ラストの二重合奏は、がんばって両方の歌詞を聞き取ろうと頑張りましたが、無理でした、精進します。

 

物語はここで終わりますが、最後はタイトル通り、心で叫んで終わって欲しかった。忍への悪口の吐露が、ここでいう叫びならば、物足りないです。せっかく喋れるようになったのだから、今まで閉じ込めた思いを、もっと叫んで欲しかった。視聴者の心に突き刺さるくらいに。

 

 

 

からの玉子エンド。この裏切りは、ある意味オリジナリティ。悪い意味で(笑)

 

 

 

 

そして、エンディング(乃木坂)。

 

個人的には、あの花のsecret base、ここさけのクラシック同様、得意の既存曲アレンジで締めるのが一番良かったとは思います。

クラシックをベースに、敢えてここでそれをカバーするか!!といったエンディングにしてもおもしろかったんじゃないかと思いました。少なくとも乃木坂よりは。

 

 

ただ、まぁ、そこは大人の事情がありますので、汲んでやってくださいな。映画を作るのにもお金がかかりますし、事務所のプッシュもありますから。

どの世界でも、大きくなりすぎた規模の波に、主体側が流されてしまうことはよくあるこです・・・。

 

 

 

 

 

と、謎のシメになりましたが、ざっくりとはこんなかんじです。

あの花好きなら、雰囲気を楽しむだけでも心地よい作品でした。

DVDでたらもう一回みたいですね。